陰茎海綿体注射（ICI療法）

陰茎海綿体注射（ICI治療）は、プロスタグランジンE1製剤というお薬を直接ペニスに自己注射し、ペニスを最長4時間程度も強制的に勃起させる治療法です。バイアグラなどの内服ED治療薬の効果は80%と高い有効性を持っていますが、心臓の病気などで「EDのお薬を内服できない」という方や、重度の糖尿病や手術・脊髄損傷などで神経に障害を持っておられる方で「EDの内服薬が効かない」という方もおられます。そういった方にもICI治療は非常に有効です。実際にICI治療を受けた方の98%が効果を実感したと報告されており、非常に高い効果が期待できる治療法です。ICI療法は、ED治療最後の砦と言えるでしょう。

陰茎海綿体注射（ICI治療）は、1986年に東邦大学石井教授が世界で初めて開発した治療法で、バイアグラが発売される1998年以前は欧米で最もメジャーなED治療法でした。現在では、欧米諸国を中心に世界80か国以上で承認され、その有効性と安全性については問題がない治療法と言えるでしょう。しかし、日本では保険適応されていませんので自由診療となります。

「そんなに効果があるのに、なぜ日本で普及していないの？」
「そもそもICI治療って初めて聞くんだけど・・・」

日本で普及していない最大の理由は、「直接ペニスに自己注射をしなければならない」
ということでしょう。「痛いんじゃないの？」「ペニスに自分で注射するって・・・」
など痛みに対する心配や、自分でペニスに注射することに対する恐怖心で、なかなか治療に踏み切れない方が多いのが現状です。

ICI治療を受けるにあたり、最大の懸念はやはり「注射の痛み」と「恐怖心」ではないでしょうか。しかし、ご安心ください。ICI治療に使用する注射の針は、髪の毛より細い針を使用し、薬剤も0.1㏄から最大1㏄までですので、採血や通常の注射よりはるかに痛みが少なく、個人差はありますが痛みはほとんどないと言えるでしょう。実際に初めてICIを実施した患者さんのほとんどが「なんだ、こんなものか」といった感想をお持ちになる方が多いです。

いきなりご自身でペニスに注射ができる方はそうそうおられません。当院では、初回診察時に陰茎海綿体注射に関する注意点だけでなく、実際にどのようにペニスに注射をするのかを患者様が完全に理解し、ご自身で安全に注射ができるようになるまでご説明いたします（オフィステスト）。オフィステストは、プライバシーの保たれた完全個室で医師と患者様1対1で行いますのでお安心ください。オフィステストを受けられた患者様は「あれ？こんなもん？」と思う方が多いです。2回目からは、ご自身のタイミングで好きな時に注射を打つことができます。

オフィステストでは、患者様の年齢やEDの重症度などをお聞きし、患者様お一人おひとりに合わせた薬剤の種類や用量を決定します。オフィステストでは3本注射を処方します。オフィステストでは、その内の1本を利用し、硬さの満足度や勃起持続時間を判定して頂きます。残り2本は、効果判定で効果が十分であった場合には、オフィステスト時と同じ用量を、効果が強すぎた場合には減量して、逆にもっと効果を希望される場合は増量して注射し、ご自身にとって最適な用量をご判断いただきます。2回目以降、継続処方を希望され患者様には、ご自身で判定していただいて満足のいった用量を処方しますので、ご自身のタイミングで好きな時間、好きな場所で注射して頂けます。

ICI治療は注射後5分程度で勃起が始まり、10分程度で完全勃起状態になります。
その後、個人差はありますが、性的刺激がなくても2～4時間完全勃起状態が継続します。
また、射精後も性的刺激がなくても勃起が持続しますので、時と場合によっては「勃起がおさまらない、困ったな…」といった状況が生じる可能性があります。（通常、勃起は最大で6時間以内にはおさまります）

ICI治療は、持病に影響することなく使用する人を選ばず、世界80か国以上で承認されている治療なので、その安全性は十分に証明されています。稀な副作用としては、注射部位の皮下出血やむくみ、軽度の陰茎痛などしかなく、重篤な副作用は報告されていません。（軽度の陰茎痛は、一時的なもので時間の経過とともに消失します。）
しかし、ごく稀ではありますが、勃起時間が4時間以上遷延する「持続性勃起症」という副作用がでることがあります。「持続勃起症」とは、痛みを伴うほどの強い勃起が4時間以上続く状態のことで、専門医の受診が必要となります。当院では、万が一に備え持続性勃起症に対する対処法についても書面をお渡しし、しっかりとご説明させていただきます。また、何らかの処置が必要となり病院を受診しなければならない場合に備え、事前に紹介状をお渡ししますのでご安心ください。